【独白】MC松崎「キックボクシング、それは神様が僕に与えたおもちゃのようなものさ。」

【独白】MC松崎「キックボクシング、それは神様が僕に与えたおもちゃのようなものさ。」

その時のことを、彼はこう語る。

「その瞬間、僕の中の魔獣が解き放たれたんだ。」

これは、3/17(土)新大久保駅にあるGENアカデミーで行われた「トイカツファイト」にハッシャダイボクシング部が参加した実際の記録を、試合に参加したMC松崎へのインタビュー形式でお届けする、リアルドキュメンタリーである。

インタビュアー:橋本
インタビュイー:MC松崎

ー今回の試合ハッシャダイからは4名の参加者が出場したと
ええ。今回の大会は、前回も出場しKO勝ちを納めている《パントリー杉山》と《ジャケン》、そして前回引き分けとなった僕。
それに加え、ハッシャダイ随一の剛腕と呼ばれている《鉄拳の近藤》が出場したんだ。
パントリー杉山は半年前に始めたとは思えないポテンシャルだし、ジャケンは元経験者。鉄拳の近藤はまだ初めて1ヶ月だけど身体つきが日本人のそれじゃないと言われている。3人とも可能性を秘めている選手だね。

だけど、正直僕のお膳立てにすぎないよ。みんな僕を際立たせるために存在しているんだ。カレーで言う福神漬けみたいなものだよ。ハハッ。

ーで、今回の試合に備えてどれくらいの準備を
パントリー杉山と鉄拳の近藤は短い期間だったから相当頑張って練習してた感じがするよ。
特に、鉄拳の近藤の相手はキックボクシング1年の経験者。まだ初めて1ヶ月の彼にとってはかなりハードルの高い相手だったんじゃないかな。
経験者のジャケンと前回180cm以上の相手と対峙した僕にとって、そんな練習は必要なかったさ。
大事なのはコンディション調整ぐらいかな。

ーでは、ほぼ練習せず、コンディション調整のみだったと
ああそうさ。正直なところコンディション調整はミスったんだ。
前日に、電撃のように神のお告げが聞こえてさ。

ーなんと
“喰らえ、さすれば与えられん”ってね。

ーその後どうしたんだい
一瞬気を失ってたんだ。ふと気がつくと目の前にはカントリーマーム一袋とバタークッキーが一袋。それにチョコレートの袋が転がっていたよ。ざっと2500kcalはあったんじゃないかな。

ー影響はなかったのかい
ほぼ無いね。強いて言うなら、参加者の中で僕だけ計量で5kgオーバーだったことくらいかな。なに、なあんてことはないさ。ちょうど良いハンデだよ。

ー本当に?

君は馬鹿にしてるのかい?
良いかいトム

ー橋本です。
失礼、橋本。君は、漫画うずまきナルトを読んだことはあるかい?そこに出てくるロック・リーという体術のスペシャリストは全身に重りをつけて戦いに挑むんだ。それと一緒のことだよ。

(試合前に大事なのは何よりもハイになることと語るMC松崎氏)

ーなるほど。では、試合のことを聞きたい。まず初戦のパントリー杉山から。
彼は、試合前から落ち着いていたよ。「僕は僕のやるべきことをやるだけだ」ってね。

特に心配もしてなかったかな。前回彼は勝利を収めているからね。
勝利ってのはスパイラル。勝利が勝利を生むんだ。
後、今回は僕からのアドバイスをしっかり聞いていたように感じるよ。

ー君が彼にアドバイスをしていたと。具体的に
あぁ、僕の言う通りにすれば”勝利は君の手の中にある”とね。

(ジャブの打ち方を教えるMC松崎氏)

簡単なことさ。
まずは避ける。華麗にね


すかさず追いかけるんだ。ハイエナのごとくね

そして後ろから殴る。

ー卑怯じゃないかい?
バカ言うんじゃない。勝つのに手段を選ぶべきではないんだ。俺は今までそうやって生きて来たんだ。僕の人生哲学だよ。

(静かにリングを見つめるMC松崎氏)

ーで、結果は
引き分けだね。

ー”勝利は君の手の中にある”のでは?
私のアドバイスは間違っていなかった。しかし、彼は最後のところで手を緩めたんだ。

彼の優しさという弱さが出た一幕だったね。彼にはまた練習に励んでもらいたい。

ー次は鉄拳の近藤。彼は非常にポテンシャルが高いと聞いていた
あぁ、彼は日本人離れした肉体の持ち主さ。こんな逸話もある。彼がアメリカを歩いていると、ある外人からこう声をかけられたんだ。『Oh!MUROFUSHI!!』ってね。

ー室伏と間違えられたのかい
そうだよ。そんな彼だが、今回の相手はキックボクシング歴1年。鉄拳の近藤はわずか1ヶ月。
誰も気づいていない事実だが、なんと11ヶ月もの差があったんだ。この事実に気づいた時、これは鉄拳の近藤でも流石にまずいんじゃないかと思ったよ。
彼も憂鬱な表情を浮かべていたさ。


まあ、素人同然の彼だから仕方ないことだね。

(試合直前、絶望的な表情で前の試合を観戦する鉄拳の近藤)

ーでは、試合は防戦一方だったのかい
それが、試合が始まった途端、空気が一変したよ。
表情がガラッと変わったんだ。


(コロス…コロス…とブツブツ言いながらリングインする鉄拳の近藤)

彼はまるでイノシシのように突っ込んで行ったんだ。

見てくれ。この勢い。さすがの相手も完全にビビっていた。

ーおお、それは誰もが予想していなかった展開だ
しかし、イノシシのように突っ込んでいけたのは、わずか15秒足らず。
30秒が経過した時には完全にスタミナが切れていたね。

ーなぜわかるんだい
どさくさに紛れヘッドロックで相手を気絶させて試合を終わらせようとしたからね。

あっさり止められていたよ。

そこから地獄の1分半さ。
ヘッドロックにブチギレた相手にボッコボコにされていた。


見てくれよ。この表情。『もう…やめてくれ…』という思いが伝わってくるだろう。

ーその時、君は声をかけたのかい?
橋本、君は甘い。甘すぎる。
可愛い子には旅をさせろと言う言葉があるだろ?僕は放任主義なんだよ。


(試合中暖かい表情でボコボコにされる鉄拳の近藤を見つめるMC松崎氏)

ー試合結果は
それが、なんとか引き分けさ。経験差を考えるとよく頑張ったと思うよ。

しかし、彼は試合が終了した直後、リング脇に、まるで生まれたての子鹿のようにピクピクしながら倒れ込んだ。

死ぬ…死ぬ…と呟いていたよ。

あれは哀れだったね。あれじゃあまるで敗者の姿さ。
もし僕が鉄拳の近藤の立場だったら、すぐに着替えて練習をし始めるね。

ー次は経験者のジャケン。前回トリケラトプス拳を使った彼だが

(前回試合でトリケラトプス拳により勝利を収めるジャケン)

ああ、ジャケンは相当な実力者さ。僕の足元にも及ばないが、それでも一般じゃ通用すると思うよ。

ただ今回の敵は強敵だからね。僕から簡単に必勝法をアドバイスしたよ。さすがジャケン。しっかりと試合で生かしてたね。
松崎ファイナルエクストリームコンボを伝授したよ。

ーというと
まずは左足をあげてよける

次は、左腕をあげてよける

足を掴んで

最後にへし折る

ーへし折るのかい
そうだよ。リング場は戦場。いついかなる時も死を感じさせなければいけない。

ー結果は
見事に勝利さ。僕の試合直前、いうならば前座だったからね。ミスタージャケンはすごくいい仕事をしてくれたんじゃないかな。拍手を送るよ。

ー最後に君の試合だ
会場のボルテージは最高潮。みんな僕の試合を楽しみに来たんだろうね。僕は観衆にこう言ったよ。「焦るな、僕は逃げない」とね。

(ファンの質問に答えるMC松崎氏)

ー君の対戦相手は
素人さ。強いて言うなら顔面はマニーとそっくりだったね。

ーマニー?
フィリピンの英雄、マニー・パッキャオさ。

(対戦相手と固い握手を交わすMC松崎氏)

僕の相手としてはある意味不足は無かったよ。
せめて顔だけでも話題性がないと可哀想だからね。

ーなるほど。では、試合の様子をぜひ教えてほしい。
まず、神に祈りを捧げたよ。

ーなんと
“森羅万象、格闘の神よ。あなたも罪な人だ。私にまた勝利というプレゼントかい。そんなんじゃ僕はもう喜べないよ”ってね

ーこれはいつもの儀式なのかい
いや、初めてしたよ。
This is エンターテイメントさ。
そうして試合のゴングは鳴った

ちょっといいかい。橋本。

ーはい
このインタビューを終わりにしよう

ーなぜ?
すまない。正直、僕はこの試合をあまり覚えていないんだ。
あぁ、本当に申し訳ない。いつものことなんだ。

ー何を言ってるんだい
試合ゴングが鳴った「その瞬間、僕の中の魔獣が解き放たれたんだ。」
そこからの記憶が完全に消えてしまっているんだ。

かわいそうに、おそらく相手は無残な姿を遂げているだろう。
以上で終了だ。橋本。帰ってくれ。

ーいい加減にしろ、松崎。
え?

ーここに試合後の写真がある。
ん。

ー一つ一つ、状況を説明してくれ。まずはこれだ。

ー完全に入っているね
あぁ。詳しくは覚えていないが、おそらく不意をつかれたんだろう。
全く、油断した隙に狙ってくるとは、ずる賢いやつだ。

ー次にこの写真だ。

ー完全にリングから逃げようとしているね
ご、誤解だ。そんなわけないだろう。なんてことを言うんだ。
これは執拗にプレッシャーをかけてくる相手のスポーツマンシップの無さに呆れて、コーナーに寄ったまでの話だよ。

ーなるほど。では、これはその時の観客の写真なのだが

ー完全に逃げようとした君を笑っているような写真だが
なんと失礼なオーディエンス達だ。橋本。こいつらの連絡先を調べ上げて教えてくれ!訴えてやる。

ー極め付けはこの写真だ

ー君は一体何をしているんだ
て、敵の方向を間違えたんじゃないかな。
こ、この写真は合成じゃないのかい?!

ーこの様子を実際に見ていた観客にインタビューしたんだ
なんだって?


(「MC松崎かい!?ははは!彼は非常に滑稽だった。意識を失って敵の逆側を向いてパンチを繰り出していたよ」)

ー正直に話してくれ。試合の結果は
うぁああああ、、完敗ぃいですぅううう。殴られすぎてぇぇえ記憶がありませんんん!!!!

ー敗因は
暴飲暴食でぇすぅぅううう!!練習もサボっていましたぁあぁあああああ!!!

ーなぜそうなった
実はぁああ、この前ぇええええ、大好きだった彼女に振られましてぇえええええ!!!
そこから出会い系アプリに登録をしたのにぃぃいいいい、61戦全敗でぇぇぇええええ!!!!

その反動でこのような形になってしまいましたぁぁああああ
本当にごめんなさいぃぃぃいいいいいい!!!

ー次回に向けてどうする
はいぃぃいい!!!

一つ!!絶対に絶対に偉そうにボクシングを語りません!!

一つ!!絶対に絶対に本気で痩せます!!

一つ!!絶対に絶対に!!

絶対に絶対に!!


絶対に絶対に!!


うわあああああああああああああああああ!!!!!!!


ーENDー

 

Written by MC松崎